活動記録

Brusselセミナー報告

2017.4.25

海外


▲ブリュッセルEXPOセンター5号館正面 メイン会場(左)/ジャパンパビリオンが設置されている11号館(右)

Brussel EXPOセンターで開催された、第25回Seafood Expo Globalに水産物・水産加工品輸出拡大協議会として出展し、セミナーと商談を実施した。水産専門の見本市としては、世界最大規模で、主催者の発表によると、出展団体数は昨年より95団体増え1,856団体であった。海外からは79か国・地域からの出展があり、会場面積は展示スペース正味で、38,338平米で東京SFSの約2.4倍の広さ。会場は4号館から11号館まであり、規模の大きさを感じさせた。5号館がメインの会場で、ジャパンパビリオンが設置されたのは11号館であった。来場者数は5月初旬現在未発表であるが昨年は26,600名であったが、去年は開催直前にテロが発生した影響で、少なかったが、今年は増えたと推測される。


▲会場全体の配置図(左)/11号館の配置図(右)

日本からの出張者は、協議会の白須理事長を団長とし、全海水中平専務、東町漁協中園部長、ニチレイフレッシュ亀岡マネージャ、マルイチ横浜石文部長、また事務局として、今野事務局長、浅川次長が参加し、総勢7名となった。


▲ブース前で出張者一同

今回、本協議会ブースは、Jetroのジャパンパビリオン内に2コマ確保し、商品展示冷蔵ショーケース、商談テーブル2セット、ビデオモニター1機、調理デモカウンター、販促物を配布するラックなどを設置した。調理器具としては、炊飯器、IH加熱調理機、ホットプレートを持ち込み、刺身、握り、シャブシャブ、バタ焼きの調理デモをできる様にした。

▲左からブリF、真鯛R、ブリRホタテ(柱、卵付き柱)(左)/ショウケース内の展示水産品(右)

24日が初日で、10時から会場となり、5号館正面入り口から見て、右手の一番奥の11号館に設置したジャパンパビリオンまでの距離は300mほどあり、来場者が協議会ブースまで回ってくるまで、30分程度かかった。11時からブースにてホタテの醤油とレモンバター焼きの調理デモを開始し、匂いで来場者を引付け、11:45から開始する会議室でのセミナーを案内した。ブースからセミナー室まではかなり離れており、また判りにくいため、セミナー参加者が少ないことが危ぶまれたが、何とか30名ほど集まった。


▲ジャパンパビリオン内の協議会ブース

最初は、団長である、白須会長より英語で、挨拶と日本産水産物のEU向け輸出の現状と課題についてスピーチいただいた。主な論点は和食はユネスコ無形文化遺産に登録され、世界中に広まっており、食材の中心は水産物である。日本産水産物の輸出先国は1位香港、以下中国、米国と続く。昨年の総輸出金額は約22億ユーロであるが、EU向けはこの3%にとどまっており、品目では1位がホタテで、以下錦鯉、真珠と続きこの3アイテムで7割を占める。日本の水産物は安心・安全、高品質で信頼がおけると自負しているが、この様な状況ではEUの皆様に日本産の水産物を使った本格的な和食を楽しんでいただいているとは到底言えない。今回は新鮮なぶりとホタテを空輸したが、物流体制も整備されてきており、ヨーロッパの主要都市には飛行機を使えば、水揚げ後48時間以内でレストランまで届き、寿司や刺身と言った生食が可能である。今回日本産水産物の良さをいろいろな面から紹介し、料理デモで試食も供するので、理解を深めてほしいと締めくくった。


▲白須会長スピーチ

次に、ICFA(国際水産団体連合)での付き合いがある、同会長兼スペイン漁業連合会長のJavier Garat Pérez氏に、白須会長より事前に応援スピーチを依頼し、快諾いており、お話しいただいた。

話の骨子は、①ICFAの活動等概略、②日本産水産物の鮮度や品質管理等の良さについて、日本産は安心・安全で信頼がおけることを強調、③来年はEU向け輸出が倍増すると信じていると期待を表明。


▲Javier会長応援スピーチ

3番目に今野事務局長が英語で、『日本の生魚をもっと食べよう』 水産物摂取と健康についてパワーポイントを使い話した。内容は、ボストンで、全漁連三浦部長が話した内容とほぼ同じなので割愛する。

4番目は全海水の中平専務が、『日本産水産物の価値と養殖魚』鮮度保持技術と和食文化と題し話した。内容はボストンで中平専務と熊本県海水養殖漁協の金棒課長が話した内容をとほぼ同じなので割愛する。


▲全海水中平専務スピーチ

5番目はニチレイフレッシュの亀岡マネージャーが、『日本産帆立について』養殖、加工、料理等と題し、流暢な英語で話した。内容概略は、ホタテは寿司の人気メニュー。世界と日本産帆立の生産量推移は年々増加。 オホーツク、噴火湾、陸奥湾のそれぞれの生産について。養殖方法について3種類(地まき、籠、耳釣り、)。この後、陸奥湾産帆立のビデオを流し、最後にホタテのいろいろなメニューを見せ、日本産帆立のご愛顧をお願いして締めくくった。特に、ビデオは海中の画像は大変きれいで、参加者に日本産ホタテについて強く印象づけることができた。


▲ニチレイフレッシュ亀岡MA

この流れで、陸奥湾産帆立と鹿児島産ブリを使った調理デモで、握り寿司を実施した。料理人は、2013年東京SFSのワールド寿司カップの優勝者のPepi Anevski氏により、英語の解説付きで説明した。 デモンストレーション中、参加者からの握り寿司についての質問が多数あり、寿司に対する関心の高さ再認識した。


▲Pepi氏によるジャパンパビリオンでの寿司にぎりデモ。

料理デモ及び試食はブリと帆立3メニューづつ実施した。ブリは刺身、握り、しゃぶしゃぶで、ホタテは刺身、握り、醤油とレモンのバターソテーでいずれも大人気であったが、アンケートの結果は、意外であるが一番人気はどちらも、わさび醤油で食べる握りで、北米と違い、日本の寿司がそのまま受け入れられていると、感じた。3日間合計での試食数は、ブリ刺し身110食、握り260食、ぶりシャブ50食、ホタテ刺し身90食、握り190食、バターソテー150食 合計950食。アンケートの分析は現在作業中であるが、回収数は606通と多数回収できた。


▲同ブース内でのデモンストレーション
○商談について
今回、ぶりとホタテの商談に東町漁協、ニチレイフレッシュ、まるいち横浜 各社の参加をいただいた。日本産水産物、特にホタテについては、国内在庫がひっ迫しており、また端境期でもある為、興味を示した来場者が引きも切らなかった。また、ぶりや真鯛等の養殖魚にも興味をそそられる来場者が多く、特に南欧で養殖されているチヌは形は真鯛に似ているが、色は黒いため、赤い真鯛を見て、どうやって赤くしているのか、薬品で染めているのか等の質問がでた。英文パンフの真鯛のシートを使い、そもそも魚種が異なり、日本の真鯛はもとから赤いことを説明した。3日間の商談件数は80件以上で継続商談件数も20件を超えている。


▲ブース内でのセミナー

▲ブース内での商談

○ボストン・ブリュッセルシーフードショーの主催運営会社Diversified Communications社との面談
期間中、同社の首脳陣の協議会ブースへの訪問を受け、大日本水産会が主催する東京シーフードショウの更なる拡大と日本産水産物の輸出拡大のため面談と情報交換を行った。面談者は同社の催事総責任者である、Liz Plizga副社長、Iris Kwaアジア担当役員、Wynter Courmont水産催事担当役員、Betty Chanアジア地域営業マネージャー 4名と、白須会長を中心に、今野事務局長、浅川次長で意見交換を行った。


▲左から、Bettyマネージャー, Wyntar役員, Liz副社長、Kwan役員

課題としてアドバイスされた事項は、
①海外メディアをもっと活用し、国際化を図るべき。
②海外からの出展者数を増やすべき。
③海外からのバイヤーの招聘に力を入れるべき(キーバイヤーへの働きかけ)
今後の対応策として、
①国際化の推進
・海外メディアへの発信を強化し、海外からの出展者と国地域の参加を増大する。
外国語HP、ガイドブック、案内状など充実する。
・出展者への外国語の販促物の整備を促し、フォローする。
・海外からの出展社、来場者の移動面での利便性を高めることを検討する。
・シーフードショーの海外からの出展者を増やすためには、日本産水産物の魅力をさらにアピールすることが必要。
たとえば日本の高度な養殖、加工、漁労技術や、MELジャパン等、サステイナブルな取組を海外にアピールし、
安心・安全で高品質な日本産水産物の認知度を上げる。
②出展社数と来場者数を増やす
・マッチング等の商談機会を増やし、商談成立の確率を高める。このため海外から
のバイヤー特にキーバイヤー(大手量販店、大手外食等の購買担当者)を招聘する事。
③今後、Diversified Comunications社と相互に情報交換する等、連携・協力を検討する。
何れも輸出拡大につながる課題として、捉え取り組みたい。

ボストンもブリュッセルとも、お祭り的な印象強く、また、特にブリュッセルでは国や地域が大規模に設置しているパビリオンが目を引いた。79ヶ国・地域の内、73の国や地域主体のパビリオンを設置し、規模的にもデザイン的にも目立ち、この見本市への各国の力の入れようが窺えた。


▲ロシアパビリオン(左)/ノルウェーパビリオン(右)

会場内風景会場内は競うように華々しいデザインのブースが立ち並ぶ。また、マルハニチロやニッスイなども大きなブースを構え存在感をアピールしていた。たとえばニッスイは400平米以上を確保したブースを設置していた。どちらも雰囲気の良いレストランと厨房をイメージしたブースで、飲食しながら商談ができるようになっていた。

ボストンもブリュッセル市の人口は100万人規模の都市で、それほど大きくはないが、会場までの移動手段について、交通渋滞を避けるためにも市内の主要地点から会場までの無料シャットルバスを、ボストンでは7系統、ブリュッセルでは5系統運行していた。さらにブリュッセルでは、地下鉄と路面電車も事前登録をした、来場者は無料となり、大変便利であった。

これは、市当局もこの催事が旅行者を呼ぶ意味でも重要であり、盛り上げようと協力していると理解した。しかし、東京のような広大な街ではなかなか難しとも思った。

 

■今後の課題
ボストンでもブリュッセルでも、セミナー参加者集めに苦労した。特にセミナー会場が、ブースから遠かったブリュッセルは、2日目から、会議室からブース内に場所を変え実施した。大きな会場を回る貴重な時間を1時間以上拘束し、話を聞いていただくことの難しさを痛感した。しかし、料理デモと試食には、立ち寄る人が多く料理デモや試食を兼ねて、手短に日本産水産物の良さを伝え、納得いただく等、やり方を変える必要があると思う。

 

« »