パリでのPRセミナー・商談会(2019年10月)
2019.10.2
日時 10月2日~3日
場所 パリ(Rungis市場、料理学校Cordon Blue、高級鮮魚店Vent‘d Quest)
日/EU・EPAが2019年2月発効し、ブリのEU側関税15%が撤廃され、ホタテの関税8%も段階的に低減される事を踏まえ、これらの水産物のEUへの輸出拡大を趣旨として計画。今回は、ブリセミドレス4尾、フィレー7枚、ホタテ貝柱10㎏を使用。
さらにパリ市内の水産物専門店 Vent‘d Ouestにおいて一般消費者向けにブリ解体と簡単な寿司セミナーとブリとホタテの握りをふるまって消費者の反応を調査した。
[セミナー概要]
(1)Rungis市場(パリ市南部にある世界最大の市場の水産卸棟内)
・10月2日早朝1時半から4時まで国際寿司知識認証協会の小川理事によるブリの3枚卸実演とブリとホタテ握りの試食を実施。場所は水産卸棟の卸売り業者R&O Gastronomy社の売り場前。
・試食数は合計360貫で、市場内の卸業者と買い出し人、更に海外から来たレストラン関係者などにふるまった。日本産のブリのラウンドを見たことがない関係者も多く興味を引いていた。試食を進められた関係者は、ほぼすべての方大変がおいしいと評価し、特に醤油を付けない方が美味しいと言う人も多かったのは新たな発見であった。また、生の刺身や握りに抵抗感のある市場関係者も2~3割存在し、日本からぶりとホタテの紹介に来たと言うと安心した様子で食していたが、普段生の魚を食べていないことの表れで、正直市場に並んでいる魚介類は生食に耐える鮮度の物は少ないように感じた。まぐろの磨きロイン真空パックなども有ったが、色がぼけており、聞くと生食用ではなくソテー等加熱して食べられる由。また、ホタテの漁が解禁直後で、ホタテホール(うろ付き)で多数並んでいた。
▲Rungis市場水産卸棟内(左)/ブリ、ホタテ早朝セミナー(右)
▲小川理事(国際寿司知識認証協会)によるブリ3枚卸、造り(左)/R&Oの和食店担当(右)
▲まぐろロインの真空パック(左)/解禁直後のホタテホール、うろが付いたまま(右)
(2)コルドンブルー料理学校
パリの有名な料理学校であるLe Cordon Bleu(1895年パリで設立され120年以上の伝統を誇り、現在では世界20カ国・35余校以上のネットワークを有し、100を超える国籍の料理人の卵、毎年20,000人が受講する料理教育機関) にてブリとホタテのプロモーションセミナーを実施した。
・翌3日9時から12時半まで同料理学校のセミナー室にて日本産ブリとホタテの料理デモンストレーションを主体としたセミナーを実施した。この料理デモには3名のシェフによる日・仏料理競演という形式で実施。講師は、小川氏とフランス料理の有名シェフでパリ市長もお気に入りのビストロ Le BELISAIREのMattthieu Garrelシェフ、ワールド寿司カップのフランス大会優勝者Yannシェフの3名。
・白須協議会理事長から以下を説明
① 日本から日本産水産物を代表する、ブリとホタテを紹介するためにやってきた。
② 海外からの来日観光客は年々増えており、EUから約200万人、フランスからも30万が訪日し、水産物を主体とする和食を堪能されている。帰国後も本格和食を食べたい方は多い。
③ 日・EU/EPAにより、ぶりのEU側関税15%が撤廃され、ホタテも段階的にその関税が低減され、これらの日本産水産物は安価になる。
④ 3名のシェフによる日本産ブリとホタテを使った料理の競演で、寿司握りはもとより、いかにフランス料理としても美味しく調理されるかをご理解頂き、今後日本産ブリ・ホタテを大いにフランス料理に使ってもらいたい。
次に小川氏による寿司セミナー、次いでGarrelシェフによる、ホタテのバタ焼アボガドとイチジク添え、ブリの野菜スープしゃぶしゃぶ野菜添えを調理。さらにYannシェフによるきゅうり桂むきシートによる巻物、フランス風ソースを使ったホタテ炙りフュージョン寿司を受講者にふるまった。最後に小川氏による和風しゃぶしゃぶ、ホタテとブリの握り。9時から3時間半のセミナーで、途中入退場はあったが来場者総数は延べ約60名が受講し、アンケート回収数は40枚と想定以上であった。配布試食数は総計180食で、3人のシェフのメニューはどれも好評であったが、やはり寿司人気は高く特に若い人達に大好評であった。
・ただし中にいたレストラン関係者からは、今後日本産ブリを使いたいが、もう少し安くならないかとの話が有った。(現在のブリの価格は、メロと同じ価格なので高すぎるとのこと)
▲コルドンブルー本校(左)/白須理事長挨拶(右)
▲Garrelシェフ(左)/ホタテのソテーアボガド・イチジク添え(右)
▲GYannシェフ(左)/白須理事長と3シェフ揃い踏み(右)
(3)鮮魚店 “Vent d’Ouest”でのプロモーション
3日17時から18時半まで、高級鮮魚店 “Vent d’Ouest”の店頭で、ブリの3枚卸演、
ブリ・タテの握りの試食を一般客を相手に実施した。配布試食数は220食で、大変好であっ
た。パリの量販店で売っている寿司は、握りと言えばサーモンと若干まぐろが見られるが、
巻物が主体。ぶりや帆立の握りを食べたことが無いお客様がほとんどで、魚の生食に若干
抵抗感が有るそぶりが見られたが、食べると心から美味しいと感心し、おかわりを要望する
人も多くいた。感心したのは鮮魚店と言っても、甲殻類等はほとんどが加熱されており、
そのまま自宅で温めて食べることが一般的で、家庭での調理はあまりしないことが推測
された。また、魚介類だけでなく、ワインやチースなども並んでおり、日本でいうと鮮魚
総菜、ワイン、チーズ売り場と言ったところか。
▲高級鮮魚店Vent d’Ouestでぶり3枚卸(左)/ぶりとホタテ握りの試食(右)
▲砕氷の上に並べられた鮮魚(左)/エビ、ロブスター、貝類など何れも加熱済(右)
▲Ready to Eat(惣菜)手前の皿は海鮮パエリア(左)/ワインやチーズも売っている(右)
Rungis市場の水産卸し棟横に24時間営業のレストランが有った。市場に似つかわしくなく大変清潔でモダンな A La Mareeレストランである。入り口に Fruits de Mer(海からのフルーツ?)と書いてあり海鮮フレンチレストランであることが判る。市場でのセミナー準備と打合せのために水産卸棟を訪問した後に、朝3時すぎにタクシーを待つ間この店に入った。時間が時間なので閑散としていたが、数組の客が飲食をしていた。町中では24時間のフレンチレストランなどあり得ないが、ここは24時間営業で採算が有っている様である。